自己表現ができるようになるために

2023/05/25

職場のこと

自己表現ができるようになるための解決方法

ここでの自己表現ができるようになるための解決方法は大きく2つの観点から述べています。ひとつは感情を解決することに関する方法、もう一つは考え方を変えるための方法です。
この2つの方法はセットでなければ効果は半減します。もしかすると片方だけでは効果が無いかもしれません。

考え方を変えるための方法

例えばあなたの知り合いの女性の中にジェットコースターが怖い人が居たとします。その人は一度ジェットコースターに乗って「あんなに怖い思いはもうコリゴリ」と言っているとします。彼女がジェットコースターを楽しめるようにするためにどうやって支援すると良いでしょうか?彼女に「ジェットコースターなんて危険は無いのだから怖がる必要はないよ。楽しめばいいんだよ」と言い聞かせても、そう簡単にジェットコースター恐怖が治るわけではありません。そう言い聞かせても、それは考え方を頭で理解させようとしているだけに過ぎないからです。彼女は、ジェットコースターが危険じゃないから楽しめば良いと言われても、頭ではわかっても怖く無くなることはありません。彼女がジェットコースターを楽しめるようになっていくのは、ジェットコースターに乗った時の怖さが減ったときです。ジェットコースターに対する恐怖に似た怖さが強いうちは、どんなに頭で言い聞かせようとしても心が受け入れないのです。

同じことが、例えば上司が怖いのでつい上司に合わせてしまい言いたいことが言えないという人にも当てはまります。「そんなに怖がらなくても良いでしょ!我慢せず言いたいことを言ったほうが良いよ」とアドバイスしたとしても、それを頭では理解できたとしてもなかなか実行できません。言いたいことを我慢せずに言うということが実行できるのは、上司に対する怖さが減ったときです。
“我慢せずに言いたいことを言ったほうがいい“と頭で理解することが考え方を変えるための方法だとすると、上司に対する怖さを減らすのが感情を解決するための方法です。

感情だけを解決しても問題の改善にはならない

私たちは、正しいことを頭で考えて問題を改善しようとします。例えば、もっと自分の考えをハッキリと言ったほうがいい、もっと自分に自信を持った方がいい、もっと嫌なことは嫌と態度に表した方がいい、などと、もっともなことを理解することだけで、問題を解決しようとするのです。

しかし、それではなかなか変わりません。“そうするほうが良いと、頭ではわかっているんだけど…”という結果になってしまうことが多いのです。それは、頭では正しいとわかっていても心がついていかないからです。つまり考え方は理解出来たけど、感情は解決できていないのです。かといって、感情だけを解決すればそれで良いかと言えばそうではありません。例えば、上司がそれほど怖く感じ無くなったとしても、上司に自分の意見を主張しようと考えなければ、意見を主張できるようにはなりません。つまり、感情だけを解決しても問題の改善にはならないのです。しかし、考え方を理解し、そして感情を解決すると、私たちはそんなに苦しむことなく問題を解決できるのです。

いい人すぎて”結果が出せない人”のための問題解決術/大和出版
株式会社メンタルサポート研究所 代表 博士(学術)・臨床心理士 倉成央