「うつ病」が怖い本当の理由

2023/09/25

自分のこと

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いつ襲ってくるかもわからない

「うつ病」の初期には、病識がないことが多い。だから、そうなったかどうかの自覚ができない。いつ襲ってくるかもわからない。
しかし本当に困るのは、「うつ病」になってしまったときでしょう。
「うつ病」になると、とにかく沈みっぱなしの状態が続くようになります。
そう、不振だった営業成績をチャラにするくらいの大きな契約をまとめ、上司からベタほめされるなどのハッピーなことがあっても……。
別れた彼女(彼)以上の素敵な異性が現れ、好意を寄せてくれたとしても……。
若い人の間では、心が凹んでしまったとき、気持ちを明るくポジティブな方向に切り替えることを「アゲる」と言うみたいですが、とてもそんな気分になんかなれません。誰かが励ましてくれても、落ちたまま。どうやっても上がらない。モチベーションは低下したまま……。

「うつ病」になってしまったら、そう簡単にはいかない

つまり、本来なら、何かいいことがあってテンションが上がれば気持ちが晴れるというように、落ち込んだとしても「最短の戻り道」を経由してすぐに元気を回復することができるのですが、いったん「うつ病」になってしまったら、そう簡単にはいかない。「うつ病」は心の風邪といわれるくらいですから、完治するというイメージがあり、確かに治療によって元の状態に戻ることは多いものです。しかし元の状態に戻るには、早くても2~3カ月、長いときは3年から5年以上と、「ものすごく険しくて長い戻り道」を歩んでいかなければならなくなるのです。

そうなると、仕事にだって当然、大きな支障をきたすようになります。
意欲や行動力が低下し、やる気が起きなくなるため、結果が出せなくなります。休職を余儀なくされたり、最悪、会社を辞めざるを得なくなることだってあるでしょう。

うつ病にならない生き方を目指そう

20代、30代でそうなってしまったら、人生のいちばん大事な時期に、「うつ病」治療のために時間を使わなくてはならなくなるわけですから、「自分は後れをとってしまった」とか「出世とか成功も難しくなってしまった」と思ってしまったとしても当然でしょう。「人生の未来予想図を大きく書き換えなくては」と考えるようになってしまいます。
もちろん、だからといってそれで「人生、終わり」というわけではありませんし、「うつ病」から苦しみながら回復した体験をポジティブなエネルギーに変えて、「うつ病」になる前以上に前向きに生きている方もたくさんいらっしゃいます。しかしやはり、そういう思いをしないよう、未然に防ぐに越したことはありません。
つまり、落ち込んだりふさぎ込んだりするなどして心が凹んでしまったら、それ以上、先に行かないようにするための手立てを講じることで、「うつ病にならない生き方を目指そう」というのが、強く訴えたいことなのです。

うつにならない言葉の使い方/ダイヤモンド社
株式会社メンタルサポート研究所 代表 博士(学術)・臨床心理士 倉成央