2025/05/25
家庭のこと
あなたが子どもの頃、お手伝いをしようとした時に親から「しなくていい」と言われたことはありませんか? 九州の方言では「せんでいい」「よか、よか、せんで」という表現になります。私自身も子どもの頃、母がよく「よか、よか、せんで」と言ってなんでもやってくれました。
今思えば、共働きで忙しい母にとって、子どもに手伝わせるよりも自分でやった方が早かったのでしょう。しかし、その経験が大人になってからの私に影響を与えていました。責任ある立場に立つと、不安が大きく感じられ、自分に自信が持てないことがありました。
カウンセリングを学んで分かったのは、過保護で親がなんでもやってあげることが、子どもの成長や自律を妨げるということです。親が「いい母親・父親でなければ」と思いすぎると、自分でなんでもしてあげようと過剰になってしまいがちです。
子どもの手伝いを断ってしまいがちな親は、余裕がある時に子どもと一緒にお料理やお風呂掃除、片付けなどをしてみてください。そして、子どもが少しでもできたら、「できたね〜!」と大いに褒めてあげましょう。親が喜ぶ姿は子どもの自信を育み、自律心を促します。
2歳くらいの子どもは「自分でやりたい」と靴を履こうとしたり、スプーンや箸で食べようとします。うまくいかないと悔しがることもあります。そんな時は「悔しいね」と気持ちを受け入れ、少しだけ手伝うか、見守って励ましてあげることが大切です。
子どもは生まれながらに「できるようになりたい」「成長したい」という向上心を持っています。その芽を摘んでしまうと、依存的な性格になりやすく、「しなくていい」と言われ続けることで「しない子ども」になってしまいます。
「しなくていい」という言葉は、子どもの能力や向上心を見くびる「悪魔のささやき」かもしれません。親がなんでもしてあげることは愛情に見えますが、実は逆であることもあります。
本当の愛情とは、「やってみてごらん。失敗してもいいから。」と挑戦させ、失敗も含めた過程を温かく見守ることです。子どもが自分でできるようになることを信じ、プロセスを大切にすることで、子どもは自律し、自信を持った大人へと成長していきます。
「しなくていい」ではなく、「やってみよう!」という言葉を大切に。失敗も成長の一部と受け入れ、子どもの向上心を育てていきましょう。
心理カウンセラー 米倉けいこ(ひまわり先生)